×月××日
私立奏ヶ坂中学高等学校
とある日の練習風景

由比「朝晴殿は今日、家の用事があって来られないそうだから、代わりに俺が練習を仕切る事になった。明、光緒、俺は朝晴殿ほど甘くはないぞ。ビシバシいかせてもらう」
明「そもそも朝晴ちゃんって俺らに甘いこと、あったっけ…？」
光緒「んげー。はるさんの練習も大概スパルタですけど、猫くんが仕切りなんて聞いてないんですけどぉ…オレ、大事な用事を思い出したので帰って良いですかー？」
由比「勿論、駄目に決まっているぞ」
光緒「えー!?　なんでですかぁ!?　オレ達、個人の用事は優先しても良いってルールだったですよねぇ！　ね、まいと！」
舞斗「こういう時だけ、いっつも俺を頼るのいい加減やめてくれ！　…まあ、由比もなるべくお手柔らかにしてやってくれ、な？」
由比「むぅ…あいわかった。ここは舞斗の優しさに免じて、お手柔らかにしよう。というわけで、みんな、体育着に着替えるぞ」
明「絶対、お手柔らかにする気ないよね!?」

由比「明…ふかみ殿を見習ってくれ。もう、ちゃんと体育着に着替え始めようとしているぞ」
光緒「ふかみんストップ！　てかなんで体育着持参なのそもそも！」
ふかみ「さっき廊下で会った時、今日はねこくんがリーダーだって聞いたから…体育着、取ってきた…」
舞斗「いや、察しが良すぎるんだよな…？」
ふかみ「ねこくんと自主練する時は…大体、体育着、だよね…？」
由比「うむ、そうだな。俺達はしっかり体づくりに時間を取ってから始めるから、動きやすい体育着に着替える事が多いな」
明「猫ちゃんに隠れてるだけで、ふかみちゃんも大概ストイックなのよね…？　というか、はいはいはーい、俺、体育着持ってないんで練習無理でーす」
由比「大丈夫だ、明。俺の予備を貸してやろう」
明「用意周到すぎ!?」
光緒「オレも体育着持ってないから無理でーす」
由比「大丈夫だ、光緒。俺の予備を貸してやろう」
舞斗「いやどんだけ予備あるんだよ!?」
ふかみ「みつお…ぼくも、ジャージなら貸せるよ…。みつおには大きいかもしれないけど…」

光緒「ふかみん、気持ちは嬉しいけどそういう問題じゃないです。てかオレらアカペラ部ですよねえ!?　なんで体育着に着替える必要あるんですか！」
由比「勿論、体づくりの為に、腹筋や持久走などなどを行うためだが？」
舞斗「きょとんとすんな、きょとんと。見ろよ、お前が生き生きするのと正反対に、光緒と明の顔が死んでんぜ」
ふかみ「みつお…あきらくん…しっかり…」
由比「むぅ…ここぞとばかりに筋トレを詰め込んでやろうと思ったのだが…」
光緒「絶対やだ絶対やだ絶対やだ。やってられねーですよ、おうち帰るー！」
明「俺も汗臭くなるのはちょっと！　今日練習の後、用事あるし！」
由比「うーむ……そうだなぁ…。ふかみ殿、みんなで一緒に筋トレするのは楽しいと思わないか？」
ふかみ「…そう…だね…。ぼくは、走るの嫌いじゃないし…筋トレも…」
由比「普段仲良くしている光緒と筋トレできたら、さぞかしふかみ殿は楽しいだろうなあ」
光緒「うっ…そこでふかみんを持ち出してくるのは卑怯じゃない…？」
由比「そういえば、最近のトレンドは筋トレ男子らしいぞ、明。知っていたか？」
由比「ところで、今から外に走り込みに行くと、ちょうど近所の女子校の下校時間と被るようだなあ…」

明「え、もしかして、女の子に俺の良い所を見せるチャンス!?」
舞斗「…おまえ、なんかやり口が朝晴に似てきてねえか？」
由比「実は、『二人が言う事を聞かなかったら、こう言って何とかなさい』と、朝晴殿にメモを託されたのだ」
舞斗「道理でなんかちらちら見てんなあ、とは思ったよ…」
光緒「ふかみんとの思い出作り…」
明「俺たちFYA'M'のファンが…」
舞斗「まんまと術中にハマってんなあ…。ってか居なくても場を支配する朝晴がこええよ」
ふかみ「あの…みんな…」
由比「ん、どうした？　ふかみ殿」
ふかみ「そろそろ…30分経つけど…練習…いいの…？」
由比「な、なぬ!?　い、いかん、これ以上時間を無駄にするわけには…！　ええい、今日はもう筋トレはやめて、ブレス練から始めるぞ！」

-宗円寺家にて-
朝晴「由比君に託しては来ましたが…一筋縄じゃいかない子達ですからね。きっと、30分は時間を無駄にしている事でしょう。詳しくは、由比君からの活動報告を待つとしても、明日のメニューは考えなければなりませんね…？」

▼関連ドラマCD試聴動画#2 CDの予約はこちらから

• 
• 
• 
• 
• 
•